大学教員が起業する方法④(販路開拓)

法人登記も完了して,販売する製品の準備ができれば,あとはそれを使っていただけるお客様を開拓しないといけません. この販路開拓が一番苦労します.

せっかく自分ではいいものを作れたと思っても,それを使いたいと思っている人に使ってもらえないと意味がありません. 正解はないんだと思いますが,ひとり起業している場合は,いかに効率よく顧客獲得をするかが大事です.

「ずっと売れるひとり起業始め方(Kindle)」で読んだ中に書いてありましたが,ひとり起業をしている場合,不特定多数にがんばって販路開拓をするよりは,本当に自分の製品を必要としている顧客に対してじっくりと時間をかける方がよいみたいです.

私も確かにそうだと思います. 販売できる製品ができたとは言っても,まだまだ実証テストが少ない状態と思います.

実際にお客様にシステムを使っていただくと,想定しないような不具合や,リリース前に修正しておかなければいけないような不具合が多々出てきます.

そんな不具合が枯れ切っていない状態(自分では大丈夫と思っているが実際はそうでない.)のシステムを購入して使ってもらうわけなので,初めは自分の製品に興味や可能性を感じてもらえる少数の顧客に対して,温かく見守ってもらいながら,要望も逐一取り入れながら製品をアップデートしていく必要があります.

どうしても,事業をスタートしたばかりのときは,どうやって売り上げを大きくしようかとばかり考えてしまうのですが,ひとり起業の場合は,そもそも支出が少ないので,じっくり品質を向上していきながら,次のステージに備えるのがいいかと思います. ある程度,製品の不具合も枯れてきて,自信がついてくれば,大きな販路を開拓していけばいいと思います.

そうはいっても,大学教員ができる営業活動の範囲は限られています.当然,本業の研究・教育活動をおろそかにすると本末転倒ですので,どうにかこの営業活動をだれか,もしくは何かに代わってやってもらう必要があります.

まだまだ私も手探り状態なので,その効果はわかりませんが,試してみたことを紹介します.

・ホームページの充実

これは言わずもがなですが,いまやインターネットを使わない手はないでしょう.自社のホームページを作って,事業を紹介しましょう.

ホームページは時間がなければ外注してもいいかもしれませんが,立ち上げてからも頻繁に更新することや,どういったホームページにするかなどは自分で決めないといけなく,外注するにもインプットに時間がかかることを考えれば,自分で作ることをおすすめします.

私の場合,ジャストシステムのホームページビルダー(有料)を一つ購入して,テンプレートをベースにカスタマイズしていきました.

htmlの基本的な知識さえあれば,あとはインターネットで検索をしながらなんとか作れると思います.

サーバもジャストシステムが提供しているので,そこで借りています.ホームページビルダーと連携すればかなり便利です.

内容は,会社の概要やビジョン,製品紹介,問い合わせフォームが最低限あればいいかと思います.

自作のホームページはなかなか見た目はあまりかっこよくないですが,初めは伝えたいことを伝えることが重要です. (そうはいっても,弊社のホームページの見た目もそのうちなんとかしたいです.)

・学会などのポスターセッションや展示会でのアピール

大学の教員をしていると研究成果を学会で発表したり,展示会でポスターを展示したりする機会があるかと思います.

なかなか口頭のプレゼンテーションで事業の宣伝をしたりすると怒られそうなので,こそっとフレーズをプレゼン資料の中に埋め込むくらいにしておきましょう.

展示会のポスター展示などの場合は,自由にコミュニケーションできる場だと思いますので,可能であれば積極的にアピールするのがいいと思います.特に,大々的に大学発ベンチャーをアピールできるような展示会の場合は,ここぞとばかりに宣伝すべきです.

そのときまでにはチラシを作っておいた方がいいです(伝わるチラシの作り方参照).コミュニケーションのきっかけにもなりますし,伝えきれなかったことを後から資料で見返してもらえる可能性が高いので.

チラシは今ならラクスルなどで1000枚3000円程度で作れますので,かなりお手軽です.(安いからといって大量に発注してはだめです.私も最初よくわからず5000枚を10000万円程度で印刷しましたが,初めはデザインもよくなかったので,大量に在庫を抱えてしまいました.今も自宅でどうしようかと処分に困っています.)

展示会でのポイントは,チラシを置いておくだけでは誰も取ってくれないので,積極的にビラ配りをしましょう.

駅前でティッシュを配るかの如く,前を通った人に声をかける.まぁ,基本的にはスルーされますので,めげずに配りましょう.

10人に1人くらいは受け取ってもらえるといい方です.「よろしければ,どうぞ!」の一言をそえて.

・商工会議所への登録

市に必ずあるかと思いますが,商工会議所の会員になって,地域の産業界と関わりをもっておくのも効果的かと思います.

これはまだまだ,私も効果はわかりませんが,ひとまず会員登録をしておきました.ただ,年会費が3万円ほど必要となるので,それに見合うリターンがあるかどうかですね.

ただ,会員になっていれば,地域のイベント情報も来ますし,交流会での顧客獲得や,神戸の場合は展示会への出店の案内なども来るようですので,いかにチャンスをものにするかかと思っています.

・知り合いに紹介 いろんなマーケティングのノウハウ本にも書かれていますが,口コミで宣伝されていくのが最強に効果的です.

人は売り込みをされると拒絶反応を起こしてしまいますが,親しい人からあれよかったよと聞けば,気になってネットで検索したりすると思います.

そうなるまでにはまずは認知してもらうことが大事ですので,やんわりと親しい知人などに事業を始めたということを伝えましょう.知人の知り合いに伝わって,思わぬ依頼がくるかもしれません.

まぁ,ほんと何がきっかけで自社の製品に興味をもってもらえるかはわかりません.ある人は自動化いいねと興味をもってもらい,ある人は見える化いいねと興味をもってもらい,ある人は値段いいねと言ってもらい,使っていただいてたりします.ほんと日々試行錯誤です.

 さて,大学教員が起業する方法として,これまで4回にわたって,私の経験談をご紹介させていただきました.

100%私の主観ですので,正解ではないですが,参考になれば幸いに思います.