お手軽な5軸加工ソフトで複雑形状の加工を支援

弊社ソフトウェアの可能性を探るため,実際の金属で色々と加工していますが,実際に金属を削ると色々と課題も出てきます.しかし,そのおかげでこんな機能やあんな機能があったらいいというアイデアがたくさんでてきます.そういうアイデアは実際の加工現場でのニーズやシーズになるんじゃないかということで,どんどん弊社ソフトウェアに機能追加していっています.

今日ご紹介するのは,5軸加工機を導入したものの,CAMソフトウェアの難しさゆえにうまく使いこなせていないところにもってこいの機能です.どうしても5軸加工機といえば,同時5軸加工で回転軸をごちゃごちゃ動かして加工したくなりますが,必ずしも同時5軸加工でなくても,5軸割り出し加工で各面方向を順に加工していけば,オーバーハングのある複雑な立体形状を加工することができます.ただ,今までそんな奇妙な機能が搭載されているCAMがなかったので,複雑形状の立体ものは同時5軸加工で加工しないといけなく,難しいといった固定観念が根付いてしまっています.そんな状況を打破するための機能を追加しました.実際に加工事例をご紹介します.

実際の弊社ソフトウェアの操作からDMG森精機のNMV1500を用いて切削加工した動画もありますので,併せてご参照ください.リンクはこちら

まず,加工する形状はおなじみの3DスキャナでSTLモデルを作成したシーサーです.

弊社ソフトウェアでの操作手順です. まずは,加工するためのSTLファイルを選択します.

次に,加工に使用する工具や切削条件を順に設定していきます.また今回は被削材としてFC250を使用しますので,荒加工と仕上げ加工の複数工程を登録します.また,加工方向はZ軸正方向からの加工と,Y軸負方向(シーサーの表面側),Y軸正方向(シーサーの裏面側)からの加工を行うことで,オーバーハング形状の加工を実現します.実際の設定は下図のように加工方向を選択するだけなので,非常に簡単です.

単純な操作だけで,各面方向からの加工に必要な工具経路を算出して,NCプログラムを生成します. まず,シーサー上部からの加工のための工具経路です.

次に,シーサー正面からの加工のための工具経路です.

最後に,シーサー裏面からの加工のための工具経路です.

あとは,出力されるNCプログラムを機械にセットして,加工を開始するだけです. まずは,シーサー上部からの加工です.

次に,シーサー正面からの加工です.正面の加工時には,回転軸は動かず3軸の走査線加工をします.そのため,同時5軸加工での冷や冷やする機械の干渉などもそこまで神経質になることがないかと思います.

最後に,シーサー裏面からの加工です.

そして,最終の加工後の形状はこのようになりました.

いかがでしょうか?5軸加工ってかなり敷居が高いように思っていましたが,加工方向から3軸加工をするだけでしたら,機械の干渉もそこまで神経質になる必要がなくなり,私のように加工の初心者であっても加工できます. みなさまの5軸加工機でもっと高付加価値の製品の加工をサポートできれば幸いです.