BESTOWS Process Planning大幅アップデート

色々な原稿の執筆や申請書の提出などなどの業務を消化して,先週はようやくソフトウェアの機能追加に時間を費やすことができました.今回は,弊社ソフトウェアBESTOWS Process Planningの機能追加を行い,大幅なアップデートを実施しました.今回機能追加した項目は以下の3つです.

①加工事例データを閲覧,編集,削除をすることが可能となりました.

②除去領域が複雑な形状をしていても,工具経路を算出することが可能となりました.

③除去領域が複合的な形状をしていても,工具経路を算出することが可能となりました.

順に解説していきます.

①加工事例データを閲覧,編集,削除をすることが可能となりました.

本ソフトウェアは一度使用した加工条件を除去領域の特徴と紐づけて加工事例データとして蓄積することで,次回から加工条件まで自動で決定して,NCプログラムを自動で生成することができます.その加工事例データが実際にどんなデータが蓄積されているかがわかりにくいといった要望を受けましたので,対応しました.不要な加工事例データは削除することもできますし,加工条件を編集することも可能です.また,加工事例データにユニークなIDをつけることもできます.ユニークなIDをつけておくことで,例えば1年前に加工した受注先から再度同じ加工を依頼されたときに,加工条件を思い出さないといけないといったことがなくなります. 実際の画面はこのような感じになっています.

除去領域が複雑な形状をしていても工具経路を算出することが可能となりました

これまでは,ポケット加工の対象は工具アプローチ面が四角形の単純な形状の加工除去領域のみ工具経路の生成が可能でした.しかし,実際の加工現場では,複雑な形状をしたポケット加工をすることもありますよね.例えば次のような形状などです.

このようなモデルでも,加工ができる工具経路を計算することができました.そうはいっても,従来の高価なCAMソフトウェアのような最適な工具経路は出せてはいませんが,弊社のソフトウェアの一番の特徴は製品形状のCADモデルを入れるだけで,あとは何もしなくてもNCプログラムが自動で生成できるところにありますので,多少効率の悪い工具経路でも一品生産を考えると段取り時間と負担が大幅に削減できるメリットはあると主張しています. 実際に自動で計算される工具経路と加工シミュレーションの結果です.今回の対応でこの対応が一番大変でした.切削加工の場合,少しでも製品形状に食い込むと使いものになりませんので.

除去領域が複合的な形状をしていても,工具経路を算出することが可能となりました

今回の機能追加でインパクトが大きい対応かと思います.これまでは,加工除去領域は独立して穴だったりポケットだったりしていましたが,実際の加工現場では,ポケットの下にポケットがあって,その下にさらに穴があるといったように,除去領域が複合的な形状をしている場合がありますよね.例えば次のような形状などです.

このような形状の場合,除去領域を単純な形状になるまで分割して,得られる単純形状に対して,加工条件を決定して工具経路を生成する必要があります.除去領域を分割して,単純な形状を抽出するようなことは,研究ベースではこれまで実現できていましたが,その処理にかなりの時間を要していました.形状処理はSolidWorksのAPI機能を使って実施していますが,領域を分割して,その形状の特徴を認識して,といったことを繰り返し実施する必要があるので,どうしても時間がかかってしまいます.上記のようなモデルだと,解析に30分から1時間程度要していました.そのため,実現はできているものの,そのような機能をOFFにしてソフトウェアをリリースしていました. それを今回の対応で5分程度で完了するようにできましたので,機能を公開しました. 実際に自動で生成されるNCプログラムで加工を行ったとき加工シミュレーションの結果です.ストレスなく使っていただけるのではないかと思っています.

ひとまず,ミリングに関しては,だいたいの加工を行えるようになったのではと思います.まだまだ画面のインターフェイスの部分など,改善の余地は大いにありますが,機能的な部分については自信をもって,提供できるかたちにできたかと思っています.

次は旋盤用の次世代CAMソフトウェアBESTOWS Turningの機能追加にとりかかります.